「光る君へ」若い頃の紫式部はどのような性格の女性だったのか
- 2024/02/05
大河ドラマ「光る君へ」では、主人公・紫式部(劇中では、まひろ)を女優の吉高由里子さんが演じています。同ドラマにおいては、少女時代のまひろが、恋に悩む他人の気持ちを慮りながら、和歌を代筆する姿が描かれていました。実際、紫式部は、若い頃から和歌を詠んでいます(代筆仕事はしていませんが)。
式部が成人した頃と思われる自作和歌に
「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし よはの月かな」
というものがあります。「久しぶりにお会いして、お目にかかったのに、貴方なのかどうか分からないうちにお帰りになったことは、夜中の月が雲に隠れたように残念でした」というような意味です。
式部は久方振りに女友達と再会したのですが、親しく語り合う間もなく、その友人は帰宅してしまったということです。そしてその友人は、暫くして、離京することになります。友人の父が受領(国司)として、任地に赴くことになったからと推測されます。その際に、式部が詠んだ歌が
「鳴きよわる まがきの虫も とめがたき 秋の別れや かなしかるらむ」
というもの。「垣根で力なく鳴く虫も、遠くへ行ってしまう貴方を引き止められない秋のこの別れが、私と同じく悲しいのでしょうか」という内容です。
若い頃の式部には、女友達との別離が複数あったようで
「西へ行く 月のたよりに たまづさの かきたえめやは 雲のかよひ ぢ」
「西へ行く月に託して往来させる手紙は絶えることがありましょうか」といった内容の歌も残しています。その女友達は、九州に下向することを嘆いていたのですが、式部はそれに対し、前述のように返歌して慰めたのでした。式部は人の気持ちに思いを寄せる優しい女性だったことが分かります。
現代においても、人との別れというものは数多あるものです。それは、式部が生きた平安時代も同様でした。親しい人との別れというものをどう捉えるか。式部は、別れの悲しみを歌にして示したのですが、それにより、感性が更に磨かれたことでしょうし、作歌の経験値が増したと言えましょう。
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