【史跡散策】自らの足で幸福を手にいれろ!~アキバの聖地「秋葉山本宮秋葉神社」を登ってみた(前編)

秋葉山本宮秋葉神社上社の黄金の“幸福の鳥居”と東海屈指の絶景(筆者撮影)
秋葉山本宮秋葉神社上社の黄金の“幸福の鳥居”と東海屈指の絶景(筆者撮影)

アキバの聖地「秋葉山本宮秋葉神社」

 秋葉神社、秋葉原、アキバ、AKB...。「秋葉」という地名は東京が元だと思う人が多いと思いますが、実はその名前の元となった秋葉原にある秋葉神社の総本社が静岡県浜松市天竜区春野町の秋葉山の山頂にある「秋葉山本宮秋葉神社」です。

 秋葉山は標高866mの山で、山頂に「上社」、麓に「下社」があり両社とも毎年多くの参拝客で賑わいます。現在は約5kmの登山道(従来の参道)と約7.5kmの自動車道(スーパー林道)の2通りの方法で山頂にある「上社」まで行くことができます。

 そして、この上社には黄金の“幸福の鳥居”があり、そこからの眺めは東海屈指の絶景とも言われています。

 そこで今回は、「徒歩(登山道)」と「ロードバイク(自動車道)」の2パターンで道中&境内にある史跡を紹介しながら山頂の「秋葉神社上社」まで登り、幸福を掴んでこようと思います!

「秋葉山本宮秋葉神社」とは

 御祭神は“火乃迦具土大神”。火の神様として有名で、全国に約400社ある秋葉神社の総本社です。

 創建は和同2年(709年)、当初は「岐陛保神ノ社(きへのほのかみのやしろ)」と呼ばれていたようです。

 中世両部神道の影響を受け「秋葉大権現」と呼ばれるようになりましたが、明治時代の廃仏棄釈により権現の号を改め「秋葉神社」になり、昭和27年に今の名前「秋葉山本宮秋葉神社」と改称され、現在に至ります。

まずは下社で安全祈願

 参道は秋葉山の麓にある「下社」から始まります。ここは道幅も十分にあり、迷うことのない一本道で登山初級者でも安全に気をつければ挑戦しやすいのですが、登りは2時間程かかるのでそれなりに体力や飲料水などの準備が必要です。

秋葉山本宮秋葉神社下社。上社とは違った荘厳さを感じる(筆者撮影)
秋葉山本宮秋葉神社下社。上社とは違った荘厳さを感じる(筆者撮影)

 下社は地元では鮎取りで有名な気田川沿いにあります。参拝&登山用の駐車場もすぐ近くにあるので、先ずは登山の安全祈願をしましょう。

 下社の正式名は「遥斎殿」といい、山頂にある上社を遥拝するための神殿です。

 拝殿向かって左には巨大な“日本一の十能”があります。さすが、火の神様を祀る神社ですね。

アウトドアで火を扱う人は“日本一の十能”にも注目(筆者撮影)
アウトドアで火を扱う人は“日本一の十能”にも注目(筆者撮影)

いざ、上社へ!

 下社で参拝が終わったら、いよいよ上社に向けて参道を登っていきます。

 赤い欄干が目立つ“九里橋”を渡ると、登りが始まります。

“九里橋”の奥に見えるのが秋葉山(筆者撮影)
“九里橋”の奥に見えるのが秋葉山(筆者撮影)

 “九里橋”から“秋葉山秋葉寺里坊千光寺”までは10分程度。舗装された比較的歩きやすい道ですが、そこを過ぎるとハイキング用の登山道に変わります。

 所々、急勾配の登り坂や滑りやすい箇所があり、なかなかキツい・・・。しかも、ひたすら山林の中を歩くので全く眺望無し。

「素敵な景色だね~。」

 なんて盛り上がりながら歩けると思ったのですが、現実は厳しいことに気付かされます。

 そもそも山頂の秋葉神社や山中の秋葉寺へ登る参道ですから“修行”の要素満載なのかもしれませんね。

最初の参道は風情ある舗装道を歩きます(筆者撮影)
最初の参道は風情ある舗装道を歩きます(筆者撮影)
途中から参道のほとんどはこんな感じです(筆者撮影)
途中から参道のほとんどはこんな感じです(筆者撮影)

参道途中にある“富士見茶屋”で休憩!したかった・・・

 標高400m地点に“富士見茶屋”跡があります。ここは昭和18年に秋葉山で起きた大火で焼失するまで営業していたそうですが、疲労がピークに達していた私は、

「今も営業していてほしかった&休憩したかった~」

と心底思ってしまいました。

 因みに、この先の鉄塔の建っている所が唯一眺望が開ける場所になります。

今は母屋の廃墟を残すのみとなった“富士見茶屋跡”(筆者撮影)
今は母屋の廃墟を残すのみとなった“富士見茶屋跡”(筆者撮影)

信仰の強さが見える参道途中の“子安地蔵尊”

“子安地蔵尊”にはたくさんの穴の空いた柄杓が置かれている(筆者撮影)
“子安地蔵尊”にはたくさんの穴の空いた柄杓が置かれている(筆者撮影)

 また、その鉄塔の手前に“子安地蔵尊”があります。

 子安地蔵尊は安産のご利益があり、分娩の難を除くために穴が開けられた柄杓がたくさん捧げられています。今でも信仰の強さを見ることができる場所です。

神仏習合の名残を感じる「秋葉山秋葉寺」

 秋葉山の中腹に「秋葉山秋葉寺」があります。ここの本尊は聖観音菩薩ですが、真殿に“秋葉三尺坊大権現”を祀り、火防の霊威あらたかな寺として広く信仰を集めるようになったそうです。

 私はここで参拝を理由にたっぷりと休憩させていただきました。

 秋葉山は麓に秋葉神社下社、少し登ったところに秋葉寺里坊、山の中腹に秋葉寺、山頂に秋葉神社上社が建ち、山全体が火防の聖地となっていて神仏習合の名残が非常に良く感じられます。

山門を抜けると広い境内の奥に鮮やかな秋葉山秋葉寺がある(筆者撮影)
山門を抜けると広い境内の奥に鮮やかな秋葉山秋葉寺がある(筆者撮影)

参道のど真ん中に大きな杉の木

大きな杉の木に出会えばもうすぐ(筆者撮影)
大きな杉の木に出会えばもうすぐ(筆者撮影)

 秋葉寺を過ぎると、大きな杉の木が参道のど真ん中に立っています。秋葉山を登る人たちをずっと見てきたであろうこの木を過ぎると標高800mの表示が見え、さらに広い階段が出てくるのでゴールが近いと感じさせてくれます。

 あと一息です!

ゴール!上社に到着

秋葉山本宮秋葉神社上社の神門(筆者撮影)
秋葉山本宮秋葉神社上社の神門(筆者撮影)

 先ず見えてくるのは境内で最も古い上社の“神門(市指定文化財)”です。天保2年建立の神門は、昭和十八年の大火で唯一消失を免れた建物です。また、屋根下周囲にある精巧な彫刻は諏訪三郎の作といわれ、見所の一つです。

 ここまでおよそ2時間、頑張って登ってきた甲斐がありました。
 この後、黄金に輝く“幸福の鳥居”をくぐって本殿を参拝した時の達成感と開放感たるや。
「努力は必ず報われる!」
と確信しましたよ!!

歩いて登った者にしか味わえない達成感(筆者撮影)
歩いて登った者にしか味わえない達成感(筆者撮影)

 この後、1時間半ほどかけて先ほどの参道を下りましたが、膝がとても痛くなりました。意外と下り坂って足に負担がくるのですね・・・(以下、後編に続く)

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  この記事を書いた人
まつおか はに さん
はにわといっしょにどこまでも。 週末ゆるゆるロードバイク乗り。静岡県西部を中心に出没。 これまでに神社と城はそれぞれ300箇所、古墳は500箇所以上を巡っています。 漫画、アニメ、ドラマの聖地巡礼も好きです。

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