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からくりだらけの「忍者寺」訪問記

 からくり部屋や、忍者ショー、手裏剣体験など、アミューズメント施設としての忍者屋敷は全国に数多く存在しますが、本物のからくりを備えた忍者屋敷はあるのでしょうか?

 数年前、本物のからくりが残る金沢の「忍者寺」に行く機会がありました。そこは、娯楽的な忍者屋敷とは全く違う、戦略と工夫に満ちた防衛施設でした。

忍者寺・日蓮宗妙立寺(みょうりゅうじ)の由来

 金沢郊外にある妙立寺(みょうりゅうじ)は、別名「忍者寺」と呼ばれています。もともと妙立寺をはじめとした寺町寺院群は、幕府との戦を想定した「出城(でじろ)」としての機能を与えられていました。

 出城とは、戦略的に重要な場所に配置する要塞(ようさい)施設で、特に妙立寺はそんな寺社出城の中心的な役割をになっていました。また、平時は加賀前田家当主が参拝に訪れるため、防御の面からも数々のからくりが用意されていたのです。

加賀前田家と忍者寺

 忍者寺と出城寺院群は、三代目藩主・前田利常公によって整備されました。利常公は「かぶき者」としても知られ、幕府を油断させるためにわざと鼻毛を伸ばすといったエピソードも残っています。

 ほかにも、奥方を自殺に追いやった乳母を蛇攻めで処刑したという強烈な一面もある殿様でした。そんな、強烈な「かぶき者」の殿様が作った忍者寺のからくりは、忍者屋敷というよりも、城の防御システムのようでした。

忍者寺のからくり

 忍者寺には敵の攻撃に備えて、数々のからくりが用意されています。

落とし穴

 本堂の正面入り口を入ったところに、賽銭箱が埋め込まれています。なぜ賽銭箱が埋め込まれているかというと、実はこれが落とし穴になっていて、攻め込んだ敵の出鼻をくじくのです。

からくり階段

 寺の随所にからくりが施された階段があります。「明かり取りの階段」は、内側からみると敵の影が映るので人数が確認できるほか、階段裏から槍などで攻撃が可能。また、床下をめくると隠し階段が現れるからくりは、脱出経路にも、落とし穴としても利用できます。

物見台

 忍者寺の外観は二階建てですが、実は内部は七層に分かれています。その最上階には物見台が設けられていて、遠くから迫る敵を確認することができます。

 そのほか、万が一の脱出路として井戸の底に横道が掘られて、金沢城との連絡通路になっている…らしいのですが、実際につながっているかどうかは伝説の粋を出ません。

忍者寺を見学するには

 そんな、からくりだらけの忍者寺を見学するには、電話予約が必要です。

見学までの流れ

 1.電話にて希望日時と人数を伝える
 2.予約当日、時間までにに妙立寺に集合
 3.人数を確認後、グループで寺内の見学

 見学者は寺内をめぐりながら、数々のからくりのほか、寺の由来や加賀前田家との関連などの説明を受けます。

 コロナ禍以前は、たくさんの外国人観光客が訪れていたため、英語の案内が書かれたガイドブックが用意されていました。

 なお、寺社内は撮影禁止なので、しっかり見て心に刻んでおきましょう。状況に応じて予約、見学方法が異なるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

■ 正久山妙立寺 住所:石川県金沢市野町1-2-12
電話受付時間:午前8時30分より午後5時まで
予約電話番号:076-241-0888

拝観料:
大人(中学生以上)…1,000円
小学生…700円
※未就学児の拝観不可

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  この記事を書いた人
日月 さん
古代も戦国も幕末も好きですが、興味深いのは明治以降の歴史です。 現代と違った価値観があるところが面白いです。 女性にまつわる歴史についても興味があります。歴史の影に女あり、ですから。

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