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【やさしい歴史用語解説】「元号」
- 2024/01/23
「元号」とは簡単に言えば、昭和や平成・令和といった和暦のことです。日本史の中でも天正3年(1575)といった感じで西暦と併記されるケースがあります。では元号はいつから始まったのでしょうか?
そもそも元号は中国で始まり、朝鮮やベトナムなど周辺国へと広まっていきます。やがて日本でも645年の「大化の改新」を機に、元号が「大化」と定められました。これからは新しい政治体制へと刷新するという意気込みが伝わってくるようです。
ちなみに中国王朝へ朝貢する冊封国は、中国の元号を用いることが義務付けられていましたが、日本はあくまで独立国の立ち位置です。そのため、元号も日本独自のものを用いていました。現在までに制定された元号は248にも及び、「昭和」のように64年の長きにわたって使われた元号もあります。
ところで、元号は ”天皇の代替わりごとに変わるもの” と考えている人も多いのではないでしょうか?
たしかに天皇即位のタイミングで切り替わった例もありますが、制度として定まったのは明治になってからです。これを「一世一元制」と呼びますが、実際は当時の清王朝が採用していた制度でした。西洋化を目指していた日本が中国の制度にならうというのは不思議な話ですが、現在まで続いていることに変わりはありません。
元号を見ていくと面白いことがわかります。もっとも多く用いられている字は「永」です。その次は「元」と「天」。さらに「治」「応」「和」と続いていきます。また「安」や「慶」「亀」なども多い漢字ですね。
その意味をひも解いていくと、これまで日本が直面した様々な困難があります。地震や洪水といった天災、さらには戦乱や疫病など、大きな社会不安がたびたび起こっていました。
そこで元号を変更することで、国家や臣民の安寧を願ったわけですね。これを「改元」といいます。
たしかに安は「安寧」、天は「天を治める」、そして和は「平和」に通じますから、それぞれ意味があったのでしょう。面白いところでは「亀」という漢字があります。亀は古来から縁起が良いとされていて、北斗七星の模様がある珍しい亀が見つかったことから元号が付けられました。
明治以降の元号を見ると、それぞれ重要な意味が隠されています。「明治」は読んで字のごとく「明るく治める」と書き、新しい時代を迎える日本が「明るい国になるように」という願いが込められているそうです。
次に「大正」ですが、元々は中国五経のひとつ「易経」から取ったものです。その中に、「大」亨りて以て「正」は天の道なり。という言葉があり、「天皇は民の言葉をよく聞き取った上で、正しい政治をしなければならない」という意味になります。
「昭和」も同じく五経から取られました。百姓「昭」明・協「和」万邦という言葉が基となり、これは国民の安寧と世界の平和や共存を願う意味だとされています。
はるか古代から続いてきた元号ですが、それぞれ深い意味を持つものです。改めて読んでみると、新たな時代に期待する人々の息吹が聞こえてきそうな気がしませんか?
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