※ この記事はユーザー投稿です
【やさしい歴史用語解説】「古墳」
- 2023/04/03
古墳といっても一般民衆のものではありません。あくまで階層の高い人のために造られたものでした。
古墳には様々な大きさや形があり、より大きくて技巧を凝らしたものは、被葬者の身分が高かったことを表しています。例えば墳丘の斜面に葺石が敷きつめられていたり、墳丘が2~3段になっているものや、周囲を取り巻く濠が2重~3重になっているものもあります。
こうした古墳ができた背景には、水田耕作を生業とする村落が成立し、それらが統合されて「クニ」として成り立ち、やがて国家として成長していった過程にあるようです。
弥生時代の中期に首長たちが小規模の墳墓を造るようになり、やがて各地で特徴ある墳丘を持つ墳墓が造営されていきました。時代を経ていくと、地域にかかわらず画一的な古墳が造営されるようになります。
有力者たちの古墳を見ていくと、たいへん豪華な副葬品が見られるそうです。初期の古墳から出てくる副葬品は、勾玉や銅鏡といった祭祀品が中心ですが、時代が下ると鉄製武器や甲冑などの武具が多くなってきます。これは有力者が祭祀的存在から、武力を伴う支配者的な位置づけに変化したことを示しています。
さて、古墳の種類はバリエーションに富んでいて、見学者の目を飽きさせません。上から見ると正円形をした「円墳」がもっとも数が多く、各時代・各地域で最も普通に見かける古墳です。
そして四角い形をしている「方墳」は大陸や朝鮮半島の影響を受けているとされ、出雲地方でたくさん見受けられます。
そして古墳といえば「前方後円墳」は外せません。上から見ると円墳と方墳を重ねたような形をしていて、ちょうど鍵穴のように見えるのが特徴です。他にも「帆立貝形古墳」や「双円墳」などの種類がありますから、調べてみると面白いかも知れません。
とはいえ大型の古墳になればなるほど全体の形は掴みづらく、どうしても横から見る感じになるので、ただの森にしか見えないというケースもあります。事前に古墳の形をしっかり確認しておきたいものです。
ところで一般の古墳とは別に「陵墓」があるのをご存じでしょうか?
歴代天皇などの墓として、宮内庁が管理する古墳のことです。そこは立ち入りが許可されていない聖域だとされていて、全国には896もの陵墓があるそうです。ちなみに大阪府堺市の大仙古墳群、奈良県天理市の渋谷向山古墳をはじめ、巨大古墳の多くが陵墓となっています。
陵墓に一般の方の立ち入りはできませんが、まれに整備工事に伴う学術調査などで成果が公表されますし、出土品の貸し出しも行われるそうなので、考古学が好きな方なら良い機会になるかも知れません。
また新しく古墳が見つかるケースも多いですから、地域史を明らかにするうえでも重要な史料だと言えるでしょう。
※この掲載記事に関して、誤字脱字等の修正依頼、ご指摘などがありましたらこちらよりご連絡をお願いいたします。
コメント欄