大河ドラマ「べらぼう」 遊廓で遊ぶ時の「初会の作法」とは?

 大河ドラマ「べらぼう」第22回は「小生、酒上不埒にて」。

 揚屋とは客が遊女を呼び揚げて遊ぶところ(店)を言います。一方、置屋は遊女を抱えている家(遊女屋)のことです。置屋は客の求めに応じて遊女を派遣します。先ず、客は茶屋で遊女を選びます。客は気に入った遊女がいるとその事を茶屋に伝達。客の意向を聞いた茶屋は、揚屋に連絡し、客は揚屋に向かうのでした。

 客が揚屋に到着すると、芸子(芸妓)などが呼ばれます。客が座敷に入ると禿(かぶろ。上級遊女に仕えて見習いをした6歳から14歳くらいまでの少女)がお茶と煙草盆を持って入ってきます。続いて客の前には盃と硯蓋が運ばれてくるのです(盃と硯蓋を運んでくるのは、若い者と呼ばれる接客担当の男性でした)。

 そしていよいよ遊女が登場してきます。客の正面ではなく、少し斜めに遊女は座ります。次に客は盃を若い者に渡し、若い者は遊女に渡す。遊女は酒を飲む振りをして、盃を客に返すのです。客も遊女と同じく飲む真似をします。その後、若い者が「お召かえ」と言うと、遊女は階下へと向かうのです。すると客がいる座敷には酒肴(台の物)が運ばれてくるのでした。芸者たちもやって来て、三味線などを弾きます。

 そしてまたまた遊女が客の前に現れます。部屋着を着て、黙って座敷に座るのです。この時、遊女は客の側にも寄りませんし、会話もしなければ酒も飲みません。無言ではありますが、座敷では唄や三味線が弾かれ、とても賑やかです。タイミングを見て若い者は「あちらへ」と声をかけます。芸者らは「ご機嫌よろしゅう」と言うと退出。遊女らも上級の遊女の部屋に下がり、その後、各自の部屋に戻るのでした。これを「床が納まる」と言います。

 その後、寝室にも台の物が運ばれてきて、その時にはまた遊女らが集い料理を食べます。その時、客は食べずにいます。こうして楽しい時を過ごした客ですが、代金は1つには「床が納まった」時に若い者に渡されました。これが「初会の作法」です。


【主な参考文献】
  • 北小路健『遊女 その歴史と哀歓』(人物往来社、1964年)
  • 小野武雄『吉原・島原』(教育社、1978年)

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  この記事を書いた人
濱田浩一郎 さん
はまだ・こういちろう。歴史学者、作家、評論家。1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。 武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー、日本文藝家協会会員。兵庫県立大 ...

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