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神主さんがお祓いで使う「大幣(おおぬさ)」の歴史と意味

 神事の際には欠かすことのできない神主さん。その神主さんの重要なアイテムなのが「大幣(おおぬさ)」です。

 「大幣」と聞いて、すぐにその形状が思い浮かぶ人は少ないと思いますが、実際に見れば、大勢の人がこれなら知ってると思うことでしょう。しかしその意味や使い方などになると…。今回は、「大幣」について詳しく解説しましょう。

大幣(おおぬさ)っていったい何?

 「大幣(おおぬさ)」は、神職である神主さんがお祓いのときに使う、祭祀用具の一つです。一般の方からは、お祓い棒とも呼ばれています。正式名称は「大幣(おおぬさ)」で、紙垂(しで)と呼ばれる紙と麻苧(あさお)と呼ばれる麻の繊維の紐、そして榊(さかき)などの木の棒から作られているんですよ。伊勢神宮などでは、桧の白木を使った「大幣」を使っているそうです。

 お祓いなどで使用される祭祀用具には、「大幣」以外に「小幣(コヌサ)」・「切幣(キリヌサ)」・「御幣(ゴヘイ)」といったものがあります。「大麻」と書いて「おおぬさ」とも読み、現在神職を行う神主さんたちの間では、「大麻」の方が一般的のようです。ただあの違法な植物の「大麻」とは、全く別物ですのでご安心ください。

 「大幣」の「幣(ぬさ)」とは、麻の古い呼び方なんです。古来より「幣」は神様に奉げる布のことを指し、一般的には麻布を神へのお供えとして使っていました。また麻は、古来より魔除けの効果がある植物とされ、神社の「大幣」だけでなく参拝時に鳴らす鈴の紐・しめ縄・御幣などにも使われています。

神道でのお清め

 「大幣」の神道的な意味を考えてみましょう。「大幣」は罪や穢れを「大幣」に移し取って祓うという意味があります。私たちが見るのは、「大幣」でお祓いをするところまでなのですが、まだ続きがあります。お祓い後、神主さんたちは祈祷して「大幣」を川に流しているんですよ。川に流すことで海へと流れ着き、清められるということになります。

 神道では、身を清める際に水を使います。いわゆる「禊」ですね。神社で見る手水舎も、身を清める簡単な方法の一つです。もし更にもっと強い「禊」をしたい時は、海の塩水を使います。海には強い浄化作用があるとされているのです。しかし昨今では、川へ物を流すこともできなくなっています。ですので、お焚き上げで「大幣」を燃やしその灰を川へ流しているそうです。これが「清め」という行為となり、参拝者の罪や穢れが祓い清められています。

何故振りまわすの?

 実は「大幣」の使用法には決まりがあります。これからお祓いを受ける物や人に向かって、左・右・左という順に「大幣」を振るのです。それによって罪・穢れ・厄災などが「大幣」に移って祓われます。昔は左・右・中の順だったそうですが、その違いは見ているだけではよくわかりませんね。

 とはいうものの、「大幣」の振り方には神社によっても違いがあるとか。バサバサと音を立てて降るところから音が出ないところも。伊勢神宮や春日大社などといった、古来からの祭式を行う神社では音を立てて祓うことは禁止されているそうです。この場合「大幣」は、撫でるようにして使います。

素材は決まってるの?

 もちろん「大幣」の素材にも、ある程度の決まりがあります。白い紙の「紙垂(しで)」ですが、書道用の半紙や美濃半紙がよく使われています。麻苧(あさお)と呼ばれる麻の繊維の紐ですが、麻の茎から靭皮部分を取り出したもの。光沢があって強靭な繊維の紐なんです。そしてその輝きが強いほど、清めの力も強いとか。そして芯となる棒の部分は、榊や桧がよく使われているようで、伊勢神宮などでは白木のみを用います。

 白木の棒を使った「大幣」を祓串(はらえぐし)といいます。主に伊勢神宮で使われている「大幣」なんですよ。ではなぜ、伊勢神宮では祓串を使用するのでしょうか。それは神道において、白は清浄の色だからです。ですので神主さんは白装束ですし、社殿には漆喰をよく使いますし調度品も桧の白木が多くみられます。

どんな起源で誕生した?

 天照大御神の天岩窟の話の中で奉斎された五百津真賢木(イホツマサカキ)が起源と言われています。日常生活で大幣について考える機会は少ないかもしれませんが、神道の文化は日本人のルーツと密接に関わっています。神道の行事や祭具に詳しくなり、日本人の心を考える機会を持ちましょう。

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  この記事を書いた人
五百井飛鳥 さん
聖徳太子に縁のある一族の末裔とか。ベトナムのホーチミンに移住して早10年。現在、愛犬コロンと二人ぼっちライフをエンジョイ中。本業だった建築設計から離れ、現在ライター&ガイド業でなんとか生活中。10年以上前に男性から女性に移行し、そして今は自分という性別で生きてます。ベトナムに来てから自律神経異常もき ...

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