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源平ゆかりの「須磨寺」。平家物語とのかかわりとは?

 兵庫県・神戸市須磨区にある須磨寺には源平合戦のエピソードがたくさん残っています。「源平ゆかりの」というフレーズがつくくらい、深いかかわりがある須磨寺(すまでら)。

 今回は須磨寺に残る源平関連の史跡やエピソードをお伝えします。

一ノ谷の戦い

 須磨寺が源平とかかわりがあるのは、源平合戦のハイライト「一ノ谷の戦い」の舞台であったことから。一ノ谷は須磨にあり、現在でも史跡が多く残っています。

 一ノ谷の戦いは源平合戦最大の戦ともいわれ、源義経率いる源氏軍が一ノ谷で平氏の軍を破りました。一ノ谷は海と山に囲まれ、平氏側の兵の配置は偏っていました。そこに義経が山側から奇襲をかけ、(「鵯越の逆落とし」として有名です)これにより平氏側は総崩れとなり、大敗を喫します。海に停泊していた船も出航できず、壊滅状態に。開戦からわずか2時間ほどで勝敗が決したといいます。

 その後「屋島の戦い」、「壇ノ浦の戦い」へ続き、平氏は滅亡することになるのです。

須磨寺と源氏のつながり

 話は少しさかのぼりますが、須磨寺に御本尊である聖観音を安置し寺領を寄進したとされるのが源頼政。また正門も再建したと言われています。源頼政は近くにある「浄福寺」も再建しています。源頼政は以仁王と結んで挙兵を計画しましたが、平氏に敗れ、京都・宇治の平等院鳳凰堂で戦死していました。

 次にこの須磨寺と源氏の関りがあるのがこの一ノ谷の戦いです。源義経が陣を敷いたのが須磨寺であったといわれています。そのため、須磨寺には今も源平ゆかりの品々が多く残っているのです。

須磨寺に残る源平合戦ゆかりの品々

 須磨寺には源平合戦にまつわる多くの品々が残っていますが、「平敦盛」に関するものも多く残っています。平敦盛がどんな人物だったのか、合わせてご紹介していきます。

敦盛最期(あつもりの さいご)

 一ノ谷の戦いで有名なエピソードが「敦盛最期(あつもりの さいご)」です。「平家物語」に登場する話ですが、平家物語の中でも最も涙を誘うエピソードとして知られています。

 平敦盛は、平清盛の甥にあたる人物で、当時17歳の美少年でした。平家が劣勢になったとき、兵を率いて敗走しようとしましたが、その時源氏軍の武士・熊谷直実(くまがい なおざね)に「大将格の方が逃げるのか、引き返せ」というようなことを言われ、呼び止められます。熊谷直実は敦盛を見て、自分の息子と変わらない年齢であったことに驚き、命を助けようとします。しかし、敦盛は「汝のためには、よき敵である。名乗らなくても首を取り、人に問えばわかるであろう。」といい、直実も(ここでこの方を逃しても逃げ延びることができないだろう)と心を決め、泣く泣く敦盛の首をとりました。

 直実は、のちに敦盛を弔うため、また世の無常を感じ出家しています。

源平の庭

 須磨寺にはその「敦盛最期」の場面を再現した枯山水の庭・源平の庭があります。馬に乗った敦盛と直実が対峙する場面が見事に再現されていて、とても迫力があります。

義経腰掛の松

 須磨寺では、一ノ谷の戦いの首実検などが行われました。

 現在では松の一部が残っているだけですが、この松に源義経が腰かけて首実検を行ったと言われています。敦盛の首もここで首実検が行われました。

敦盛首洗い池

 討たれた平敦盛の首を洗い清めた池がこの「敦盛首洗い池」であったと伝えられています。

敦盛首塚

 その敦盛の首を納めたのがこの敦盛首塚。須磨寺の中でも五重塔の近くにあります。ちなみに胴体は須磨浦公園に祀られていると伝えられています。

青葉の笛

 敦盛は笛の名手として有名でした。一ノ谷の戦いの前日、敦盛は陣地で美しい笛の音色を奏でていました。亡くなった後、敦盛の遺品をみた源氏軍が「あの美しい音色を奏でていたのはこの方だったのか」とわかり悲しむ場面もあったといいます。

 その青葉の笛と言われるものも、現在須磨寺の宝物館に展示されています。また青葉の笛と一緒に保管されているのが髙麗笛という笛で、こちらも敦盛遺愛の笛と言われるものです。

弁慶鐘

 一ノ谷の戦いで、弁慶が長刀の端に鐘をかけ、陣鐘の代わりにしたという伝説があります。こちらは真実かどうかはわかりませんが、「提灯に釣り鐘」ということわざは、この話に由来するものだそう。当時の実物は宝物館に展示されています。

須磨寺は源平好きにはおすすめ

 数々の伝説が残る須磨寺。日本でも昔から「平家物語」など源平のエピソードは人気があったため、昔から観光名所として数多くの人が訪れたそう。

 境内を訪れてタイムスリップした気持ちになりながら散策してみてはいかがでしょうか?

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  この記事を書いた人
ゆかた さん

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