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「なます」がシチュウのつけあわせ?昔のトンデモ洋食レシピ
- 2022/10/31
直木賞を受賞した中島京子さんの小説『小さいおうち』の中で、女中のタキちゃんが婦人雑誌のレシピから、シチュウ(昔のシチューの呼び方)の付け合せに「なます」を出すエピソードがでてきます。
しかし、旦那様やぼっちゃんからは「シチュウになますは合わない」と不評でした。なぜシチューの付け合わせに「なます」が採用されたのでしょうか?今となってはわかりません。
昔の雑誌は、今のように試作や試食を行わないことがほとんどでした。その証拠に、昭和初期のレシピには今では考えられないほどの、キテレツな料理の数々が雑誌に掲載されていたのです。
しかし、旦那様やぼっちゃんからは「シチュウになますは合わない」と不評でした。なぜシチューの付け合わせに「なます」が採用されたのでしょうか?今となってはわかりません。
昔の雑誌は、今のように試作や試食を行わないことがほとんどでした。その証拠に、昭和初期のレシピには今では考えられないほどの、キテレツな料理の数々が雑誌に掲載されていたのです。
インパクト抜群、戦前の洋食レシピ
『温故知新で食べてみた』という本は、作者の山本直味さんが実際に戦前の婦人雑誌に掲載されたレシピを再現しています。なぜそうなった…?目を疑う斬新レシピ
奇想天外なレシピの代表格として紹介されているのが、「干物のポテサラ詰め」です。焼いた干物の中にポテトサラダを詰めた、インパクトの強い料理ですが、お味は案外美味しいのだとか。その他にも、今では考えられない斬新なレシピが数多く紹介されています。
・どんぶりにうどんを貼り付ける作業が大変なわりに、もっさりした味の「サケのカップ蒸し」
・ベスト・オブ・奇想天外。美味しいものを集めても美味しくならなかった「カステラのゼリー」
・もはや甘いミートソース「トマト汁粉」
戦前ではまだ、肉も野菜も種類が少なかったためか、いつもの食材だけで洋風っぽくみせるために、奇抜なレシピが考え出されたのかもしれません。
煮て焼いて、揚げる、戦前キュウリレシピ
戦前の洋食は、なぜか、キュウリを加熱するレシピが多く見られます。・キュウリのクリームシチュー…水っぽい
・キュウリのコロッケ…意外に美味しい
・キュウリの炒め煮…バターじょうゆ味で美味しい
・魚のキュウリソース…水臭く、川の匂いがする
キュウリというのは95%が水分ですから、油での調理は大変そうなのですが、なぜ、昔はこんなにキュウリを加熱したのでしょう?
私がテレビで見たところによると、「ズッキーニの代わりとして」使われたという説がありました。
ズッキーニはカボチャの仲間なので、形が似ているとはいえ、キュウリでの代用は難しそうですが…。
違法な調味料?戦後の配給レシピ
中原淳一は戦前、戦後にかけて女性たちに美しい暮らしを提案したデザイナーです。彼が手掛けた「それいゆ」「ひまわり」といった雑誌では、美しいイラストとともに当時のレシピが紹介されているのですが、調味料や材料名が現代とはかけ離れています。今では意味がわからないこれらの単語、どんな食べ物かわかりますか?
・サッカリン
・ズルチン
・メリケン粉
サッカリンとズルチンは昔の人工甘味料で、健康を害するということで現在では使用されていません。メリケン粉は小麦粉のこと。これは年配の人はまだ使ってますね。
レシピの中には「配給のパイナップル缶詰」といった記述もでてきます。配給制度は戦時中から戦後にかけて食料統制が行われていた時代の名残りです。
特に砂糖は貴重な甘味だったらしく、レシピの中でも「耳かき3杯」(耳かき1杯でひとつまみほど)など、使用する量は少なかったようです。計量カップもない家庭が多いので分量は「どんぶり一杯」などで表記されています。
おわりに
江戸時代『豆腐百珍』という、豆腐料理だけをあつめたレシピ本が大流行しました。しかし、そのうちレシピ数を増やすことが目的となってしまい、その中には再現が不可能なレシピもあったとか。戦前の洋食もまた、インパクトを追求しすぎて、味や効率が後回しになってしまったようです。
そして戦後、物不足の時代なのにレシピだけはケーキやビーフコンソメなどが紹介されています。これらのレシピもまた実際に作るというよりは「見て楽しむ」ものだったとか。
私たちが当たり前に思っていた「レシピのとおりに作れば美味しいものができる。」というレシピづくりは、先人たちの悪戦苦闘のたまものだったのでしょうね。
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