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六斎市で酒まんじゅうが人気だった甲州街道「上野原宿」へ

2018年にリニューアルされ、上野原市の新たな玄関口となったJR上野原駅の南口駅前広場。
2018年にリニューアルされ、上野原市の新たな玄関口となったJR上野原駅の南口駅前広場。

JR 中央本線で西へ向かい、山梨県に入って1番目の駅が上野原駅。明治34年(1901)の開業当時の上野原駅はツツジの名所であったという。

駅の北側は河岸段丘で眺めがいい。桂川を望む旅館の様子を残しており、かつては鵜飼のアユ漁を楽しむ屋形船客で賑わっていたそうだ。

南口には、平成29年(2017)にエレベーター棟、平成30年(2018)年に駅前ロータリーができて新しい駅の姿になった。ホームから見える桂川のほとりには、上野原で200首以上もの歌を詠んだ与謝野晶子と鉄幹の歌碑が建っている。

駅からも見わたせる桂川
駅からも見わたせる桂川

甲州街道の上野原宿は、甲斐絹(かいき)の取引で活況を呈した宿場町であり、材木や薪炭などを運ぶ相模川(桂川)の舟運で栄えたことでも知られる。

上野原宿には、寛保2年(1742)に1・6の日を市日とする六斎市が開設され、郡内唯一の市として賑わった。この市で大人気だったのが、明治15、16年頃から売り出された「酒から作ったまんじゅう」だ。この市まんじゅうを楽しみに、人々が列をなしたと言われ、長寿食としても知られる酒まんじゅうは、この地で古くからお祭りやお祝い事などの人が集まるときにつくられてきたものだという。

上野原市内には甲州街道沿いを中心に、酒まんじゅうの店が10 店舗以上もあり、お店ごとにいろんな味が楽しめる。観光案内所には酒まんじゅうマップも置いてあるので、お店めぐりを楽しむこともできる。

「あんまん」「みそまん」「塩まん」「おかかまん」「高菜まん」「魚(とと)まん」「あんなし」「チーズまん」と種類も豊富な酒まんじゅうは、麹から作った甘酒を混ぜてつくる生地に独特の風味が感じられるもの。お店ごとにそれぞれの味を楽しむことができ、昔ながらの製法で手作りしている店もある。

上野原は、甲州街道を旅した歌川広重が「家毎に機織るなり。上野原よき宿」と、音の風景を日記に記した場所。近隣の農家で織られた甲斐絹は、独特の光沢や風合いで江戸の人の心を捉えたという。

地理的な特徴が地名に残り、市に集まる人々の歴史も感じることができる上野原。明治21年(1888)とその後の火災により宿場町の多くの建物は焼失してしまったが、「旧本陣跡」と記された門にその面影を見ることができる。

▼上野原市ホームページ
https://www.city.uenohara.yamanashi.jp/

▼上野原市観光協会
http://www.hakken-uenohara.jp/

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  この記事を書いた人
KOBAYASHI Sayaka さん
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