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縄文時代から食べられていた鰻、一般庶民に普及した理由
- 2022/05/27
現在の日本人が好む食材として欠かせない「鰻(ウナギ)」。国産の鰻は値段も高騰し、今では高級食材になってしまいました。
日本人はいったいいつから、ウナギを食べるようになったのでしょうか。その答えは、最低でも縄文時代から食べられていたそうです。
日本人はいったいいつから、ウナギを食べるようになったのでしょうか。その答えは、最低でも縄文時代から食べられていたそうです。
縄文時代の遺跡から
海に囲まれた日本において、縄文時代の人々も水産生物の捕獲は容易にできたようです。縄文遺跡からは、海水魚・貝類・淡水魚など、200~300種の出土物が発見されています。そして、約5000年前の縄文遺跡にあった貝塚から、「鰻」の骨も出土しているんです。
うなぎの回遊経路になっているのが、黒潮が流れる太平洋岸。特に、東京湾や仙台湾の周辺の遺跡から多く見つかっているんです。
調理法までは定かではありませんが、火を使って調理していたと思われます。それは、「鰻」の血液中には毒素があり、そのまま食べれば舌を刺すような味ときつい生臭さで、いかに古代の人々でも生で食べるのは無理だったでしょう。
薬として使われた
実は、奈良時代末期に成立した万葉集にも「鰻」が詠われているんです。有名な歌人大伴家持の歌に、病弱だった石麻呂に送った歌が。その歌の内容は、夏痩せには「鰻」がよいとされているのでとって食べなさい、と石麻呂にすすめています。地方の物産や伝説が書き記された『風土記』(715~733年)でも、水産物の中に「鰻」が見られます。そして、醍醐天皇(885~930年)が選集させた薬物の書の中にも、「鰻」(ここではムナギになっています)が選ばれているんですよ。さらに、室町時代の料理書では、蒲焼きは「鰻」を蒲の穂(がまのほ)のようにして丸ごと焼く、とあります。
遥か昔から、滋養強壮によいと知られていたんですね。
蒲焼きの由来
ところで、現在なんの疑問もなく使われている言葉の「蒲焼き」。いったい、どんな意味が込められているのでしょう。実のところこれだとい定説はなく、諸説様々にあります。その一つが、香ばしく焼けた皮が、樹木の樺(かば)の幹に似ているという説です。さらに違う説が、焼く匂いが素早く行き渡るから香疾焼(かばやき)という説。これは、江戸時代の戯作者として知られる山東京伝(さんとうきょうでん)が 主張していました。
そんな中で、最も有力とされている説がありあます。古くからある「鰻」の調理法では、頭から尻尾に串を刺して塩焼きにしました。その姿が植物の蒲(がま)の穂に似ていることから、「蒲焼 き」と呼ばれたというものです。
ただしこの時は「かばやき」ではなく「がまやき」よばれていたそうですが。そういえば、室町時代の料理書でも、「鰻」を蒲の穂(がまのほ)状にして焼くとありましたよね。
江戸時代後期
江戸元禄時代以降には、寿司・天ぷらなど江戸前と呼ばれる、東京湾から獲れる魚介類を使った日本料理の基礎が確立されます。「蒲焼き」のもともとの調理法は関西発祥で、現在のような薄口醤油とタレを付けて焼いていました。その後江戸に伝わり、濃口醤油とみりんを使ったタレに変化して、現在の味が完成したのです。
「鰻」が人気料理になった文政期から嘉永期、なんと「江戸前大蒲焼番付」という人気店が紹介された本までもが発行。寿司などの江戸グルメで使われる「江戸前」は、もともと「鰻」に用いられていたものなんです。
のちに江戸前は、江戸城前面の海から江戸の河川、そして利根川河口までを含むよう拡大解釈されていきます。当時、隅田川の蔵前・深川あたりで捕れた「鰻」が上物で重宝されていました。
土用の丑の日
暑さに負けて夏バテしやすい、夏の土用。日本では昔から、丑の日は身体に良い梅干し・瓜・うどんなどといった、「う」のつく食べ物を食べるとよいとされる「食い養生」の風習がありました。これに「鰻」が加わった由来として、諸説あるのですが、その一つが蘭学者で有名だった平賀源内の宣伝文句由来説です。
江戸時代、旬の時期から外れで味がこってりし過ぎる「うなぎの蒲焼き」は、夏には売れない商材だったそうです。それに困ったうなぎ屋さん、夏にも売上げがアップしたくて、平賀源内さんに相談したのでした。すると源内先生は、「本日、土用丑の日」という看板を出すように指示します。見慣れない言葉の看板を見た江戸っ子たちに、店の主人が源内先生直伝の宣伝文句を並べて、お客を店に引き込んでいきます。それが大成功して、お店も大繁盛。その後、別のうなぎ屋さんたちも、その評判を聞きつけて真似をしたのです。
そんなことから、「土用丑の日」に「鰻」を食べる習慣が定着したそうです。
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