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“日本最強の城” と呼ばれる山城「高取城」に登って、どう最強なのか確かめてきた
- 2022/01/24
※この記事は2019年6月頃、「すずしろブログ」にて作成されたものです。
【目次】
奈良県明日香村のお隣、日本三大山城のひとつ「高取城」
「山城」が密かなブームだそうですね。天守閣や櫓などで構築された、よくイメージするお城とは異なり、山そのものの自然地形を利用して要塞化したものが山城です。中世までによくみられた城塞の形で、堀や土塁の跡をいまでも確認できる遺跡がたくさんあります。当時のリアルな様子を伝える独特の風情で人気の山城ですが、岡山県の「備中松山城」、岐阜県の「美濃岩村城」、そして奈良県の「高取城」を「日本三大山城」と呼んでいるようです。
標高約583mの高取山に築城された高取城は、南北朝時代がその始まりとされています。やがて現在の姿になったのは豊臣政権の時代のことで、一国一城の制が出された後も破却されず、山城でありながら近世城郭、なおかつ政庁として機能し続けた異例の城としても知られています。
「天空の城」、そして「日本最強の城」ともいわれる高取城。いったいどのように「最強」なのか、取材もかねて登ってみました。
かつての城下の風情を残す土佐町
近鉄壺阪山駅を降りてすぐ、かつての城下町である「土佐町」へと至ります。高取城へと続く目抜き通りは「土佐街道」と呼ばれ、ゆるやかな坂になっています。
「土佐」と名が付くのは、6世紀頃に大和朝廷への労役のため、土佐からやってきた人たちが集住した地域だったためとされています。
古い町並みがよく残り、江戸時代の城下街道沿いの風情を色濃く残しています。薬草栽培でも有名だった高取は「くすりの町」としても知られ、土佐町を散策するだけでも楽しいと思います!
山城への道がもう防御機構に!難攻不落の理由
案内のパンフレットによると、壺阪山駅から高取城天守台までは徒歩で約2時間の行程。山城ですので途中から登山道となり、少なくともトレッキングの装備で出かけるのをおすすめします。
道には深い切れ込みの沢に木橋がかかっていたり、つづら折りの急坂があったりといかにも「攻めづらい」造りになっていることを感じます。
山腹にものすごい数の石垣!要塞の中の武家屋敷跡
城への登山道をしばらく登ると、左右に無数の石垣の跡が見られるようになります。棚田のような平坦地が設けられたことがうかがえますが、「平場」と呼ばれるこのスペースにはかつて武家屋敷があったそうです。
山頂まで累々と続くおびただしい石垣は、それだけでもう圧倒されるような迫力です。山そのものが要塞という城ですが、さらに町を丸ごと抱いているような雰囲気で、将兵がそこで生活し常駐していたことに感慨を覚えます。
マスコット? 明日香の「猿石」
山頂付近、二の門外に明日香村柏森(かやもり)へと下る分岐があります。そこには、明日香の石造物としても有名な「猿石」が鎮座しているのです。江戸時代に田から発掘された猿石はユーモラスなその姿で愛されていますが、高取城には構築用の石材の一部として運ばれたのではといわれています。
登山の途中で突然出迎えてくれる猿石には思わずほっこり。たくさんの人が写真を撮っていました。
幾重もの城門、攻めづらい曲道
猿石を過ぎると、いよいよ城の中枢ゾーンへと差し掛かります。そこでは幾重もの城門跡と、曲がりくねった道が出迎えてくれます。城の出入口を「虎口(こぐち)」といい、ここでは敵の侵入を食い止めるように道を曲げたり狭くしたり、上の櫓から狙撃できるように等々の工夫がされています。
まるで天空の城! 山頂の天守台と巨大な神木
丸跡へと至ると、壮麗な石垣の群れに息をのむことでしょう。こんな山の上にこれほどの建造物が……と、信じられないような思いです。また、巨大な樹木が根を張っているのも印象的でした。石垣がほとんど崩れずに原型をとどめているのも、高い建築技術の証明のように思われます。
高取城はやはり最強だった
「最強」と形容される高取城は、まずもってその規模が規格外です。城郭全体の縄張りは周囲が約30km、面積6万平方メートルにもおよびます。門は33棟、櫓は22基、橋が9基、かつての天守閣は3層で、城下からはまるで山頂に雪が積もっているかのように見えたといいます。
高取城の防御能力は、幕末の「天誅組の変」で改めて証明されます。
文久三年(1863)、決起した天誅組は1000人余りの兵力で高取城を攻撃。高取城は約200人という寡兵ながら、天誅組を寄せ付けない堅牢さでこれを撃退します。
山城のもつ堅固な防御機構とその威力を示す高取城。登ってみると「なるほど、日本最強」と思わずうなってしまう凄まじさでした。
山頂付近までは車でも行くことができますが、必ず軽登山装で出かけて、気を付けて見学してくださいね!
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